セコマ経営の真髄①道内物流とバルク港
2016/04/28
セイコーマート丸谷智保社長によると北海道の強みをこれから伸ばすには物流の問題を解決する必要があるとの事。
同社が道内でコンビニのシェア1位でいるのは北海道内に根ざした独特の物流戦略が背景にあるようです。
道内で1000店強の店舗数を持ち179市町村の内、遠くは利尻・礼文島も含めて169市町村に出店、ほぼ全市町村に店を配置しています。広い北海道では物流コストが最大のネックになる。札幌の物流センターにものを集めピッキングして各地に配送するのですが、拠点間の基幹物流として大型トラックを使っています。そこで問題なのは各地域からの帰り荷が無いとカラで札幌に戻ることになる。そうなると運送コストが倍になる。そこで道内にくまなくプライベートブランドの食品製造拠点を作ってそこで出来た商品を帰り荷として積む。北見の漬物工場、根室市・標津町の水産物加工工場(鮭フレークやイクラがおにぎりの具材になる)、豊富町の牛乳工場(バラー、チーズも含む)、京極町の水と氷、芽室町のイモ工場など全道一円に配置し、物流コストを決定的に下げているのです。
北海道独特の物流の問題を北海道の広さを逆手に取った経営戦略。思わず唸ってしまいます。
そんな北海道物流の隅々を知り尽くしているセイコーマートさんに言わせると、国際バルク戦略港に指定された釧路港。今のままでは駄目との事。同社は世界中から最適調達で食材を集めており、輸入は20カ国から30億円(原価ベース)行なっています。あくまでも港は入り口と出口でしかなく、陸路も含めた北海道全体を巻き込んだ物流戦略を北海道全体で構築しないと駄目との事。税関も何故か昔の名残で函館にしか事務所が無いがバルク港ができて釧路、更に苫小牧と石狩にも税関事務所を置くように働きかけないと駄目。事務の対応ができないと話にならないため通関業者も増やす必要があるとの事。
道内への輸入をやっていてコンテナのハブ港が韓国の釜山に取られたことによって例えばフィリピンのバナナなど日本への直行便が少なく釜山経由になることで余計に日数とコストがかかっているが現状。日本としても国際物流戦略を整え苫小牧や釧路に直行便のコンテナをつけその地の流通倉庫から道内に配送ができればコスト削減につながるとの事。
今のままでは一時的な海洋土木の仕事で終ってしまう。いつまでもバルク誘致できて万歳ではなく、折角の大チャンスを道内全体を巻き込んで全道がウィンウィンの関係になるよう動く必要があると感じました。
乗山徹
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