増田誠展~パリの雑踏
2016/04/28
今月から釧路市で画家の増田誠展が開催されています。
増田誠は山梨県に生まれ太平洋戦争中に日本軍の北方警備に配属されたのが縁で
戦後、釧路に住み着き看板店で生計を立てながら画を描いていました。
釧路の財界でも支援者が多く、三ッ輪運輸や大栄産業などが画を積極的に買い取
っていました。
釧路の支援者の力を借りて昭和32年にパリに移り住み創作活動を本格化させ
世界的な画家になっていったようです。
パリを中心に活動し日本への里帰りして個展を度々開き、丸三鶴屋デパートでも
個展を開いたこともあったそうです。平成元年に北海道で個展を開いた後、その年の
4月に急逝しました。
今回の展示は釧路市立美術館、北海道立芸術館の同時開催に加え、銀行、ホテル
民間会社、個人宅など14の会場で開催され、釧路の市街地が増田誠の展示で
埋められる大変素晴らしいイベントです。
早速、手始めに市立美術館に行ってみました。
69点が展示され、油彩キャンバス画から水彩、年賀状等の展示の他、増田誠
の映像を見ることができました。
増田誠の画は人物画に特長があります。若者はでてこなくどちらかというと
中年以上、多くの人が集うカフェ、踊り場、街角などが舞台。
そこに集い会話をする人たちの声が聞こえてきそうな画です。
増田誠はパリの街角を愛したに違いありません。
僕は4年前にパリに一度だけ行ったことがあります。パリはフランスの中でも
全く違う街でした。大都市ですけど古さと新しさが交じり合った街。
雑踏の中で行き交う人、カフェで休みお茶やワインを飲み会話をしたり、新聞を
読む人。画家も居れば乞食も居る。大道芸人が芸をそこかしこで披露する。
パリはパリなのです。他のどの街にも真似できない。歴史そのもの。
増田誠の描いたパリは僕がちょっとの時間だけ滞在して感じた強烈な街の雑踏と
その中の人間がそのまま感じられるものでした。
画をみた後、ジュリエット・グレコが聞きたくなりCDを引っ張り出しました。
やっぱりパリの雑踏には哀愁を帯びたメロディが似合う。
この素晴らしい増田誠展、一日では見切れないのがいいですね。
出張から帰ったら別な会場をまた見に行くのが楽しみです。

乗山徹

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