「拾う」生き方
2018/09/30
あまりのスケールの大きさに、その素敵さに、そして生き方や仕事へと導くヒントに、自分にとって大きな出会いのあった週末でした。
中小企業家同友会くしろ支部主催で、前日のシレトコドーナツの大橋勝憲さんの講演に引き続き9/21(土)は大橋さんも運営に携わっている、北根室ランチウェイ(キラウェイ)のトレッキングに参加しました。
ちなみにランチはLunchにあらずRanchで牧場という意味です。
以前から大橋さんのSNS発信でこのキラウェイは紹介されていて、クラウドファンディングでもちょっとだけ出資させて戴いたこともあり、機会があれば歩いてみたいなと思っていました。
↑ 被り物が大橋さん、右端が佐伯さん
この北根室ランチウェイは知床半島のお膝元、中標津にある360℃パノラマ展望台で有名な開陽台から摩周湖を経由して美留和という集落まで、全コースは71.4km。全部歩くと2泊3日位かかるそうです。
今回は、その一部、中標津開陽台から、このキラウェイを一人でつくり上げ今も管理している佐伯雅視さんの佐伯農場までの9km位のコース。全部で片道3時間位、歩き続けました。
こんな舗装されていない道を長距離歩くなんて、小学校の遠足以来です。
スタートして程なく、今回の一番の難所ですさまじく急な坂が延々と続きます。途中、クルミが沢山落ちていて拾ったりしました。
酪農地帯を歩くというので、もっと平坦な道ばかりを想像していたので、「これは大変な行程になりそうだ・・・」と一同、いきなり息が上がり足にきました。
登り坂があれば当然下り坂もあり、アップダウンをいくつか繰り返しながら、牧場の横に出ると、平坦で牛もノンビリ、のどかな酪農風景が広がります。
でまた山道、牧場、舗装道路も一部、を繰り返しながら、丁度お腹が空いたところでゴールの佐伯牧場へ。ここは北海道お決まりのジンギスカン!車なので僕はノンアルコールビールでしたが、旨かった~。
コースのスケールの大きさも驚きましたけど、更に驚いたのが佐伯牧場。
佐伯さんは本業は酪農家なのですが、ここで宿泊ができるように倉庫を改造した宿泊施設、レストラン、牧舎パン売場、そして一番驚いたのが敷地がミュージアムになっていて様々なアーティストの作品が展示されていることです。
もうインスタ映えなんて当たり前、作品も一つ一つ凄いですよ。
ここ、今回は駆け足で見ましたけど、次回はじっくりと時間をかけてお邪魔したいと思います。佐伯牧場自体が一つのテーマパークになっているのです。
このランチウェイは歩くだけでなく、走っても良い。MTBで駆け抜けても良い。まだキラウェイでは徒歩以外の人は少ないそうですが、先進地のスコットランドではMTBはじめ多種多様な使い方で、利用率も圧倒的に高いそうです。
そもそも何でこんな凄いものをつくったのだろう?
道つくって維持管理するのだって、どこからお金が出るわけでもない。自然にできた獣道ではなく、ちゃんと歩けるように1年に2回、草を刈っている、山の中の凄まじいアップダウンの道も含めて71.4kmですよ!気の遠くなるような作業です。しかもここを歩く人に入場料を取っているわけでもない。
前日の大橋さんの講演では、普通なら見過ごされてしまいそうな地味な存在の隠れた才能を発掘して仕事をしてもらい成長のキーとなる人財に変えてきたというお話がとても印象に残りました。
そしてこのキラウェイです。
さらに意表をつかれた素晴らしいミュジーアムです。
この地域の人なら誰でも見慣れたあまりにも当たり前の酪農地帯の風景。
誰もが見過ごす当たり前の場所に価値を発掘して、こんな道路をつくって人を歩かせてしまった。そしてその中継地に絶対必要な、レストランや宿泊施設、アミューズメントパークをつくってしまった。
捨てる神あれば、拾う神あり。
まさにこの人たちは拾う神なんだろう。
普通なら見過ごされてしまう目立たない人、資源を発掘し、それに手を加えて魅力を磨き、それを世の中に発信して、経済をつくっていく。
「拾う」生き方であり、「拾う」哲学であり、これから地域を変えていけるのは地元に生きる者が一見して見えていないものを自ら発掘して「拾う」ことではないだろうか。
お二人の生き方、凄いな~と惚れた次第です。
歩いてみなよ。キラウェイ。
あまりにも豊かな空間。
色々なことを感じることが出来ると思います。
汝、キラウェイを歩いてから死ね!
乗山徹
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