タダほど高いものはない

2016/04/29

最近、補助金について良く聞かれるのですが、僕は基本的に補助金申請の仕事を受けていません。
補助金を活用して事業を行うということに肯定的になれないのです。

これまで企業再生の仕事をしてきましたが、過去に多額の補助金を受けて大規模な設備投資をした結果、思うように商品が売れずに倒産に至った事例が少なからずあるからです。
というより、補助金をうまく活用して事業を成功に導いた事例の方が希少なのです。
補助金といっても経済産業省の補助金の場合は補助率が２／３か１／２の場合が殆どですから、自己資金を１／３或いは１／２入れなければなりません。多くは金融機関からの借入金で調達しますから、投資した案件が収益を産まなれば返済資金もままならず、最終的に破綻に至るというわけです。

何故、これほどまでに補助金事業の失敗が多いのか？
僕は、補助金をもらうことによる投資判断の緩みのようなものが生じるのではないかと思っています。
もし、全額自分で資金を用意しなければならないのなら、投資判断は慎重に慎重を重ねると思うのです。だって、企業の将来の生死が掛かっていると言っても過言ではないのですから。
そこに多額の補助金がもらえるとなったら、価値判断に緩みが生じる可能性は少なからずある。
補助金が悪いのではなく、補助金を受け取って事業を行う人間側の問題なのです。

セミナーでも同じようなことが言えると思ってます。
良いセミナーを聞いても、無料である限りすぐそれを元に行動を起こす人は実際には殆どいない。
対照的に、有料のセミナーや塾を身銭を切って受けに来る人の殆どは必ずと言っていいほど行動を起こして、何らかの成果を上げていく。
これも無料のセミナーが悪いわけではなく、受講する人間側の問題なのです。

私たちは常に崖っぷちで事業を行っているのです。
身銭を切って投資をしない会社が成長する道理がない。
タダほど高いものはないのです。

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