未来を変える唯一の方法
昨日の記事で、ブラタモリの中で当時、斜陽都市と呼ばれていた小樽が観光都市として短期間に生まれ変わったのはドブ川同然だった小樽運河の再開発がきっかけだったと書きました。
僕は、小樽が何故あのように見事に生まれ変わったのか、実は自分の中でずっと不思議に思っていました。
僕が小樽で過ごしたのは大学時代の5年間で1976年~1981年の間です。まだ日本は高度成長時代の真っ盛りで北海道も同様に人口も経済も伸びていた。そんな時代の中で小樽だけは「斜陽都市」(笑)と呼ばれていたのです。
確かに、僕が大学受験に初めて小樽に訪れた時に、妙に歩いている老人の姿が多いなぁ~という印象で活気がない。こんな街に4年間も住むのかと暗然としたことを思い出します。
でも、実際に住んでみると気候は過ごしやすいし、何となく温かい、人が良い、歴史があって、とても住み易い、大好きな街になりました。小樽の独特の空気感は強烈に僕の中に記憶されているのです。
当時は観光に訪れる人も少なかったのですが、その中でまだ小さなランプ店だった北一硝子などキラリと光る店や個性の固まりのような喫茶店など、知る人ぞ知る街といった感じで全国からよそ者の若者が流れついて徐々に街に定着していった時代。
そんな中で小樽運河の埋め立て問題は常に街の話題の中心にありました。小樽衰退の象徴だった使われなくなった運河。廃船が放置され、ゴミが捨てられ、油が浮いて異臭を放つ。両脇の道路は舗装されておらず、情緒もへったくれもない。当時の小樽運河はわざわざ行くような場所では全く無かったのです。経済界から見たらかつての貴重なインフラだった小樽運河は正に鼻つまみものだったわけで、小樽衰退の象徴である運河を埋め立てて道路にしようという意見が出てきても当然だったのです。
一方、埋め立て反対派は過去の歴史資産である運河埋め立ては絶対反対として、年に一度は運河のゴミ掃除を行ったりしていました。そして僕も毎年出演していたのですが、若者が集まり運河にステージを組みポートフェスティバルというバンドイベントを毎年行っていました。
僕は81年で小樽を離れてしまったので、その後の経緯を知りません。運河埋め立て問題は、半分埋め立て、半分は整備して残すという折衷案で決着を見たようで84年に工事が完成し、そこから観光客を徐々に引き寄せはじめて、周辺の使われなかったまま残っていた歴史的建物や倉庫群を買い取り、ホテルや店舗へと投資する道内外の資本が相次ぎ、今は海外インバウンド客も含めて日本有数の観光都市に成長したというわけです。
一つだけはっきり言えるのは、ドブ川と化した小樽運河を埋め立てる、残すの論争が繰り広げられたあの時代に、今の小樽を見通せた人間は一人も居なかったということ。
半分埋め立て、半分残すの折衷案だって苦肉の策だったはずで、その結果、人が妙に集まり始めた。人が集まれば投資をしようとする者が出てくる。そして更に人が集まる。プラスの循環が始まるのです。
未来は見通せないけど、もしあのまま永遠に論争を続けていたら、今の小樽はない。折衷案とは言え、具体的に動いたからこそ歯車が動き始めた。偶然が偶然を呼び始めたのです。
未来を変えようと思ったら、考えてばかりで結論の出ない議論に終止符を打って、まず出来ることからやり始めるってこと。歴史が教えてくれる教訓じゃないかと思います。
これひとえに街づくりに限らず、一人の一人の人生でも同じじゃないかと思う次第ですが、どない?
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
12月11日に自社企画でゲスト講師に片野里美さんを招いてSNS・ブログ販促のセミナーやりますので、来てね~!SNS販促で集客と売上アップをホントに実現したい方、来てね~!
セミナー詳細とお申込みはこちら
乗山徹
最新記事 by 乗山徹 (全て見る)
- 顧客の創造_4つの謎 - 2021/1/2 土曜日
- コロナと共に去りぬ - 2020/6/29 月曜日
- パンドラの箱が開いた - 2020/6/28 日曜日
- 聴覚に多大に影響を与えたアルバムのカバー_10枚目 - 2020/5/12 火曜日
- 聴覚に多大に影響を与えたアルバムのカバー_9枚目 - 2020/5/11 月曜日
関連記事
-
うまく説明できない本当の理由
営業の方から「自分の商品をなかなかうまくお客さんに説明できなくて困っているのです …
-
走っても痩せない、は本当か?
今朝も走りましたが、ちょっと遠い釧路町の八幡神社まで殆ど直線を走ったら中々着かな …
-
極めて個人的なことですが・・・
3日前のブログで「僕がマーケティングコンサルタントをやっている理由」という記事を …
-
16℃長袖着れば完璧だ
昨晩はJR釧路駅前の臨設ビアガーデンで僕たちノーザンオールスターズの演奏。FMく …
-
見てない場所で
先週から今週にかけて8日間の長丁場でインターネットビジネスセミナーを行いました。 …
-
ニュースリリース運用開始しました!
当社のホームページのトップページ右下にニュースリリース北海道へのリンクボタンを …
-
読まない勇気
今朝、自分の机に積まれた本を見て気付いた。 雑誌1冊、ビジネス本3冊、小説1冊 …
-
需要などない、だから需要は自ら作り出す
これから創業しようとする方からこんな相談を受けることがあります。 「どんな商売が …
-
発信を基本動作に
昨日はブログがお客さんとの関係性をつくる上での基本メディアになっていると書きまし …
-
流行だけ追っても・・・
昨日のブログで、今の日本のマーケティングをめぐる流れは既にソーシャルメディアに移 …