世はパクリで発展してきた
2016/04/02
私があなたに惚れたのは ちょうど19の春でした いまさら離縁というならば もとの19にしておくれ
これは沖縄の唄で有名な「19の春」の一番の歌詞です。
実は、この唄元々本土で流行った「ラッパ節」が元唄らしいのです。先日釧路で公演した沖縄唄者の平安隆(ひらやすたかし)さんによると沖縄では元唄があっても、俺がつくった唄だと言い切れば本当になる(笑)とのこと。
これもまた沖縄では有名な「二見情話」。沖縄民謡には珍しくマイナーな古賀メロディー調の名曲です。でも僕も前から思っていたんですが、どこかで聞いたことあるような気が・・。平安さんがその辺のお話をしてくれました。平安さんが以前、この曲の作曲者の照屋朝敏さんの家によく出入りしていた。平安さんもこの曲が日本の五木の子守歌に良く似ているな~、まさかパクったのではないだろうか?と思っていた。ある日、照屋さん宅の本棚を見たら、日本の民謡全集がズラリと並んでいた。そこで、二見情話は五木の子守歌に似ているように思うのですが・・と質問したところ、「自分が作ったと言えば自分の曲になる。あとはお前の想像に任せる」(笑)という答えだったとのこと。
素晴らしいエピソードですね(笑)。沖縄民謡に限らず世の中はパクリで成り立っています。まあ知的財産権というのは法律上は保護されているのですが、その境界線はあいまいで限界があるのです。
それで良いと思っています。経済理論だって、マーケティング理論だって、皆なにかからヒントを得て、インスピレーションを得て、自分なりに発展させている。パクリはけしからん、なんて言っているうちにホコリ被ってカビが生えて、やがて使えなくなる。パクって消化、パクって消化を繰り返す内に人類の歴史は発展してきた。
そんな僕も、今日も伊豆くんだりまで出掛けてきたのは、何かをパクるためなのかもしれません(笑)。
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乗山徹
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