無理に合わせると病気になります

2014/09/12 2016/04/03

仕事柄、補助金のことを聞かれることがよくあります。補助金については馴染みのある人と全く無い人がいて、中には補助金や助成金の達人みたいな方もいて、うま～く使って支給する側の役所から逆にあてにされるまでなっているような猛者もいます。そういう方は放っておいて良いのですが、馴染みの無い方はちょっと注意すべき点があります。

まず補助金とか助成金とは何かを知らない方が結構いますので説明しますね。事業に必要な資金をどこから調達するかを考えた場合、一番理想的なのは自己資金、つまり自分で稼いだお金です。これが一杯あった方が良いのは誰でも分かりますよね。本当はすべて自己資金で回せれば一番良いのですが、そんな会社は殆どありません。どうしても自己資金だけではお金は不足するので、外部から持ってこなければなりません。最もポピュラーなのは融資、銀行や政府系金融機関から借りるのです。事業が不振で借金が溜まってくると普通の金融機関は貸してくれなくなるのでノンバンク（サラ金）で高利で借りたり、知人や友人、親類から借りたりします。融資は借りた金なので当然返さなければなりません。
補助金は外部からの調達という意味では、融資と似ていますが、返済不要、平たく言うと「もらえるお金」です。
「もらえるお金」・・なんと素敵な響きなんでしょう。夢のようです。実は注意点というのはこの「もらえる」という性質が引き起こす落とし穴なのです。
補助金は必ず国の重点政策とセットになっています。例えば経済産業省の補助金だと、ものづくりを奨励するために工場などの設備投資に対する補助金だとか、農水省だと酪農家が牛乳生産の１次だけでなく、加工の２次、販売の３次産業を営む６次産業化のチーズ工場をつくるためのお金を補助するとか、厚労省だと、雇用した非正規雇用者を正規雇用者に変えるための社員教育のための人件費補助だとかです。お金がもらえるがゆえに、無理に過大な設備投資をしたり、不要な人員を雇入れたりしちゃうわけです。補助金で全額賄えないので不足分を銀行から借り入れるのが一般的で、儲かると思って設備投資をしたけど思ったほど売上が伸びずに、返済が思うようにいかず、経営が行き詰ってしまったり、過剰人員の人件費が払えなくなり、資金繰りに窮したりするわけです。
僕がこれまで関わった倒産案件も補助金をもらうために結果的に無理な計画に走ったがゆえの失敗が数件ありました。珍しい話ではないのです。

絶対やめてほしいのが、先に補助金ありきという考え方です。補助金に合わせて事業の組み立てを行うと必ず失敗すると断言します。
そうではなく、まずは将来構想があり、その中で将来の収益源となる投資が必要、その投資に対してぴったり合った補助金があればトライしてみる、という順番で考えて欲しいのです。
自分のサイズに合わない靴は履けないのと同じこと、まず靴ありきで無理やり履いていると健康を害するでしょう。まず、自分の事業デザインありき、自分のサイズに合った補助金があれば使う、そんなスタンスで行って欲しいですね。

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