カトリーナに学ぶ復興
2016/04/29
私は6年ほど前よりカジノ誘致の活動をしてきましたが、昨年道庁主催のカジノに関する会議で講演し、釧路にも数度足を運んでくれている㈱国際カジノ研究所の木曽崇氏が今回の被災に際し「災害復興とカジノ」という論文で復興財源について提案しているのご紹介します。
今回の東日本大震災の復興費用は政府の試算によると14.6兆円との事。当然一時的な復興国債を発行せざるを得ないのですが、その財源をどうするか、消費税を上げるなど議論がされています。
丁度同規模の復興予算で見事に復興を成し遂げたのが2005年8月ハリケーン「カトリーナ」が襲った米国の事例です。天気予報による事前予測ができたので死者こそ1557人と少なかったのですが、35万家屋が倒壊、80万人が住宅を失う大災害でした。
この時政府は緊急予算を5年で10兆円支出しました。
災害復興とは、公共インフラとサービスの普及がまず第一。上下水道、ガス、電気などのライフラインの復旧、病院、学校、道路などの社会インフラの復旧、社会保障、警察、消防などの公的サービスの普及などです。
次に、生活再建と経済復興ですが、これには中長期的な被災地の経済復興計画を立てねばなりません。
復興には緊急に必要な公共財源を広く市井から集める必要があり、その手段としてカジノを活用したのです。
賭博による災害復興の公共財源を集める方法は古くから取られており、1763年、スペインのカルロス3世は宝くじの発行により病院などの公共施設の拡充を図りました。
日本でも1946年に戦後復興の原資として宝くじを各都道府県が独自に発行できるよう法改正を行なっています。
カトリーナの復興原資として米国ではカジノ法を改正して、①カジノ売上の11.3%をカジノ税として徴収する。②域外からの民間カジノ開発資本の誘致、③雇用の創出、④観光振興を実施しました。
成果はめざましく、年間税収237億円、5年間の累計で1528億円の税収、カジノ建設への年間投資4190億円、5年間での累計投資額2.6兆円、それが呼び水になり不動産投資ブームが起きショッピングセンターや宅地造成がさかんに行なわれました。カジノ産業が新たな雇用として2.5万人を生み、95%の人が被災地に帰還、住宅も90%以上回復しました。また年間のカジノへの訪問客が3180万人で域外からの観光客が70%を占めているとの事。
日本では阪神淡路大震災の時にカジノ誘致による財源獲得が検討されましたが、特別法の制定が必要で時間がかかるため立ち消えになった経緯があります。
その後16年経って東日本大震災が起きました。観光庁および内閣府で合法化の議論がなされ、民主、自民はじめ5党の超党派の議連でカジノ法案の骨子が発表され、日本でのカジノ建設が現実味を帯びてきた中で起こった今回の大災害。
被災地である宮城県では以前から熱心にカジノ誘致を表明しており、今後の動きが注目されます。
乗山徹
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