兵どもが夢の跡
先日の夕方、遠出のドライブの帰りに晩御飯の食材を買いに郊外のショッピングセンターに寄りました。
入口のテナントスペースの一画がまるごと空き店舗になっているのに気付きました。
そこは以前、僕が企業再生コンサルタントの仕事をしていた時に、資金繰りのご相談があったお店の店舗でした。
新聞で倒産の記事を目にはしていたのですが、他店舗の商品置き場になっている空きスペースを見て色々な思いが去来しました。
企業再生コンサルティングの仕事のベースは財務コンサルで、主に金融機関に対して再生への事業計画を示して、資金繰りの支援を求めるというもの。
その資金猶予を得ている間に事業体質を変えることが出来るかどうかが勝負なのです。
僕の経験上、何らかの形で経営者が交代するスキームが取れた場合(例えば代表者が子供や親族に交代するとか)は再生の確率は高く、時間はかかるけれども成功して存続、さらに成長ということも充分あり得るのです。
しかし、殆どは経営者はそのままということが多く、再生出来ずに倒産というケースが圧倒的に多い。
何故なら、事業失敗の原因は経営者そのものにあるからです。
このように資金繰りに窮した場合、経営者自身が聞く耳を持たず、短期的な資金繰り以外、考えが及ばなくなるのが一般的です。
この時も、色々なマーケティングの指導をしたのですが、その場では話を聞いていても、POP一つも殆ど書くことはありませんでした。
事業停滞の根本原因は客数減につきるのですが、集客対策を何ら取らずに資金対策だけ行っても、やがて万策尽きるのは目に見えている。
だから、モノを考えられる内に次の手を打って、行動を積み重ねていくことしかないのだと思うのです。
どんな会社にも成長と栄華を極めた時代がある。
「夏草や兵どもが夢の跡」
松尾芭蕉の句が浮かんできました。コンサルタントとして救えなかったという無念もあり、無責任と叱責されるかもしれませんが、どんな会社だって、生き残るための先手を常に打ち続けなければ同じことになるのです。
自戒を込めて、そして是非他山の石として戴ければと思います。
乗山徹
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