「働けど働けど我が暮らし楽にならざる」という方へ

2015/01/19 2016/04/03

昨日に続きお金の勘定の仕方（財務管理）の話です。利益が出ないというご相談を受けた場合に、必ず説明するお話があります。
損益分岐点分析と言うんですが、あなたの会社は売上がいくらあれば、やっていけるんだ？という計算をしてみましょうという話です。

計算するには損益計算書（ＰＬ）の数字を使います。仮に月々の平均の数字が以下のようだったとします。
１．まず全ての費用を変動費と固定費のどちらかに集計します。変動費は売上に応じて増えていく費用、固定費は売上があってもなくてもかかる費用です。
売上　1500千円
変動費　525千円　（飲食店だと食材費、小売店だと仕入など）
固定費　800千円　（一般管理費の合計、金利など）
２．変動費／売上＝変動費率を計算します。この場合は525/1500＝35％
３．損益分岐点売上＝固定費／（１－変動費率）を計算します。
この場合は、800/（1-35％）＝1,231千円
損益計算書上、赤字にならないためには、この事例では月々１，２３１千円以上売上があれば良いこと（黒字）になります。

しかし、この式だけでは不足で、会社には借入金の返済もあり、実際にそれらも賄わなければ資金が回っていきません。
上の３の式にもう少し加えて、資金繰りがスムーズに回るための売上を計算し直します。
４．必要売上＝（固定費－減価償却費＋月々返済額）／（１－変動費率）を計算します。
この場合は、（800-150+200）/（1-35％）＝1,308千円
となります。３の式の分子に元々の固定費に対し、減価償却費（ここでは仮に150千円とします）を減算し（減価償却費はＰＬ上記載していますが実際のお金は発生しないため引いて計算する）、月々の銀行への返済額（ここでは仮に200千円とします）を加算したのです。

この会社では、少なくとも１，３０８千円以上の売上があると、資金はスムーズに回っていくという目安になります。こういう数字を計算しておくと、相当経営者の心理的負担は消えるのではないかと思います。
これはどの業種でも共通の計算ですから自分の会社に当てはめて是非やってみて下さい。どうも最近、資金繰りが厳しいなぁ～と感じたら、この売上まで到達していない構図になっているのです。

「働けど働けど我が暮らし楽にならざる、じっと手を見る」という石川啄木みたいな方は、是非この計算を元にしてコツコツ刻んでいくことをお勧めします。

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